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No.45
2009/12/18 (Fri) 23:57:55

キリがよいとこまで、ちょびっとだけですが。

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 げらげら騒がしく笑いながら、廊下の向こうからやってくる集団。
 皆が「何だ?」と思いながら顔を向けたから、針の筵みたいな状況から抜け出せて一安心。小さくため息をついてから、ゆっくりと皆の視線を追ってみる。
 けど救いだと思った集団には高橋が居て、日向君達は当たり前のように声を掛ける。
 目が合った瞬間強張ってしまう。
 高橋の顔にも苦い笑み。
 あれはどういう感情がさせている表情なんだろうかと考える。怒ってないだろうか。呆れてないだろうか。うんざりしていないだろうか。見つめる高橋の表情からは読み取れない。
 どう接したら正解なのか分からなかった。何も無かった様に皆と一緒に笑っていいのか。謝罪するのがベストなのか。でも皆の居る場所でそんな話題を引っ張り出せば、絶対突っ込まれてしまう。
 そんな事を考えていたから、顔が強張ってしまう。
 だけどそれなのに、やっぱり高橋は何時もの様に、バツが悪そうにしながらも頭を下げるのだ。

 だから、ああ、もう。

 嫌われてはいないんだなんてほっとして、自然に頬が緩んでしまう。
 上目遣いに高橋を見ながら肩を竦めてみせれば、高橋も同じように首を竦めて、項の辺りを掻く。
 そんな高橋の癖を目にしただけで、もう駄目なんだと思った。
 もう。
 どんなに腹が立っても、高橋を嫌いにはなれないんだから。
 だから私は決意した。
 高橋に自分を恋愛対象として見てもらわなければ始まらない。
 予鈴が鳴って皆が散開する中、私はおもむろに携帯を取り出して操作する。
 宛先は高橋。
 文面は内容にそぐわず素っ気無いけれど。

「お互いの平和のため、付き合うフリをしましょうか」



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