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No.261
2012/04/18 (Wed) 02:13:26

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 たった一度――迷彩服の男が醸した雰囲気に、クラウスは圧倒されたのだ。
 そんな感覚は、生まれてこの方知らなかった。
 当然、背中に走った悪寒さえ、知らなかった。
 完全に動きを止めてしまったクラウスの前で、迷彩服は面白そうな表情はそのままに、笑いを治めた。
「キミ、やっぱり俺達と一緒に来なよ。こんな所で暴れているより、よっぽど楽しいさ」
「……あんたら、」
「ああ、自己紹介がまだだっけ」
 クラウスの言葉を先読みして、男は続ける。
「俺達は――そうだな、殺し専門の何でも屋さ。傭兵業だったり暗殺だったり、そういうのが好きな、キミの同類だ」
 そのまま、くいと親指で背後を指し示した先には、東洋人が立っている。
「この“剣”なんかは、キミも知ってるんじゃないかな? ナイフの腕は相当でね、期間限定でこっちの組織に雇われてたんだ」
「……知らねぇな」
「ああ、それは残念。剣はキミの事を良く知ってるのに」
 仲間に噴き出されて、つるぎというのが呼び名らしい東洋人は舌打した。
「情報収集は戦場では鉄則だと思うぞ」
「ははは。まあ、それでね――話を戻すけど、キミをスカウトしに来たんだ。もっと楽しい狩りが出来ると思うし、どうかな?」
「……」
「キミも、そろそろここの獲物に飽きてきた頃合じゃない?」

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