No.116
2010/06/06 (Sun) 23:55:36
東西ドイツ時代のお話。
今では、というか、自分の世界観では考えられないような閉鎖的で面白みのない、と思ってしまう時代です。
何ていうか、東ドの人たちは本当に暮らしにくかっただろうな。
劇作家ドライマン、その恋人の女優クリスタ、それを取り巻く演劇関係の人。
国家保安局の大尉。その上司と大臣。
表現を制限される、というのは、物造りをする人間にとって致命的ですよね。それを制限されたら全く無意味。国、というものに逆らいたいわけでは無いのに、望むことをしようとすればそれが罪になる。
何時だって監視されているかいないのか分からない生活で一体誰を信じていいのかもあやふや。
守りたい人、愛する人、友人、仲間――そんな人達が、次の日には裏切っているかもしれない。
ドライマンとクリスタは愛し愛される恋人、という感じで、信頼しきっているのに、それが本当に些細な事で崩壊する様が物悲しいです。
大尉は最初、というか終始ほとんど無表情でしたが、最後の最後、ドライマンが彼に向けた本を手にした時の笑顔がすっごく印象的でした。
――国家保安局、そんな名前を掲げていて、一体国家の何を保ちたかったのか……。威信を保つにしても国民自体がそんなもの無意味と感じているのに、お偉方の考える事は分かりません。
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