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No.70
2010/02/21 (Sun) 00:10:11

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 菜穂や梓の付き合いで、見に行っていたバスケットボール部の大会。スポーツ観戦は別段好きじゃなかったけれど、スポーツをしている人は皆格好良く見えた。
 今のカレも、そんな印象から告って付き合いだした。
 それなりにうまくいっているけれど、可も無く不可も無くっていう感じだ。
 そんなカレが今日は部活が休みだというから放課後デート。
 下駄箱で待ち合わせして、いざ帰ろうという段で携帯にメールが入った。
 相手は日向だ。珍しい、と小首を傾げながらも、フリップを押してメールを見る。
 題名に【ノゾキ隊】。これはつまり、マチや梓達の間で理子と高橋の話をする時の、秘密の暗号みたいなもの。おぉ、っと気が逸って、本文に目を通す。【デートの邪魔して恐縮ですが、いよいよらしいよ】。カレの後輩である日向は、どうやら今日のデートをご存知らしい。にも関わらず遠慮もせずメールをしてくる辺り、マチの事を良く分かってくれている。
 思わずにんまりと笑顔になるマチに、カレが声をかけてくる。
「どうかした?」
 どうも、何も。
 マチの中での優先順位が覆る。元々カレの順位は低めなのだけれど。
「ごめんね! マチ、こればっかりは譲れないの!!」
「……は?」
 デートを優先してこんなに心躍る内容を無視するわけにはいかないのだ!
 つかず離れず、近付いたと思ったら元に戻っている、あの何とも奇妙な二人組。マチから見たら、もう両想いなんだからさっさとくっつけばいいのにって思う二人組。とりあえず付き合えばいい、駄目だったら別れればいいっていうマチの恋愛のスタンスからはかけ離れた二人組。
 あの二人にマチ達は興味津々、野次馬根性丸出しである。
「後で連絡するから、先帰ってー!」
 ごめんね、とカレの許可も待たず、マチは走り出す。
 行き先はとりあえず、日向の教室だ。




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