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No.246
2011/10/05 (Wed) 01:25:25

すごく短くてごめんなさい。


 陰鬱な思考を抱えて黙り込んだ俺の横で、三人娘と呼ぶには一人老けていたが、何時になっても恋愛話に夢中になるのが女性というものなのだろう――ルークさんとの恋の話で個室は盛り上がっているようだった。
 キャッキャとはしゃぐ声を左から右に聞き流し、埒の無い事を考えていたら、時間はあっという間に過ぎていたようだ。
 その間も俺の視線は心とは裏腹に陛下に向き、マネキンのように凝り固まったリカルド二世陛下の表情を眺め続けていた。
 あんな風に感情を凍結出来たらどんなにいいだろう。
 考えても仕方が無い事だと分かっていても、暗い思いは消えてくれない。
 こんな時高志が居たら、と思ってしまう。昔から、何時だって、高志は俺が過去の記憶に沈み出すと、馬鹿な話題を振って笑わせてくれる。泥沼に落ちていく俺を、糸も簡単に救い出してくれる。
 一週間に一度、頼んでも居ないのに人の部活の終わりを待って、当然のように帰宅を促す――そんな高志に、俺は寄りかかって来た。
 日本では高志が居たから、過去のトラウマに苦しくなる事なんてほとんど無かった。考えることなんてなかった。
 けれどこちらに来てからというもの、どうしてもうまく浮上できない。
 その度に明後日の方向に気を紛らわせようとしてみるけれど、うまくいかない。こうやって女装してみて、女である自分を肯定しようとしてみたって、結局は楽しみきれない。
 どうしても付いて回る答えに、打ちのめされる。


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